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夜のガソリンスタンドで。
夜のガソリンスタンドで。_e0109125_20522226.jpg

先週のこと。
夜、家族で買い物の帰りにガソリンスタンドに立ち寄った。
オーストラリアのガソリンスタンドは給油機に車を横付けして、自分でホースを使ってガソリンを入れる。
そして、給油機の番号を中の人に伝えてお金を払う。

通り道を占領して停めてあったスポーツカーはピカピカで初心者マークがついていた。
その車のせいでその横の給油機が使えない。
車の主は中にお金を払いに行っている様子で運転席には誰もいない。

その車と顔を合わすように停車して、夫が車から降りてガソリンを入れていた。
私はその車の主がどんな人なのか見たくて、助手席から外を見ていた。
改造された低くて黒い車の主はどんな若者なのか?

向こうの方からアジア人の老紳士が歩いてきてその車に乗り込んだ。
思った感じとはぜんぜん違う人が車に乗り込んだのでちょっと驚いた。
息子の車にガソリンを入れてあげたのだろうか?
その金持ちそうな老紳士に続いて、若い白人の少年が走ってきて運転席のドアを開けた。
父と養子には見えなくはない。けれどもなんだか様子がおかしい。
少年は運転席のドアに肘をかけ、老紳士と会話をしている。
老紳士は車の鍵を差し込みエンジンをかけようとするけれど、鍵が違ったらしく顔の前でいくつかの鍵をガチャガチャさせながら老眼で鍵の確認をしていた。
少年がそれを見ていきなりお腹を抱えて大声で笑い出した。
給油中の夫も同じ光景を見て笑い出した。夫には彼らの会話が聞こえている。

数秒後、私も状況がつかめた。
老紳士は車を間違えていた。
スポーツカーは少年のもので、おじさんが自分の車に乗り込んだのを見て少年は何事かと急いで追いかけてきたらしい。
老紳士は車から降りて、「わしの車も黒いし、この車がわしのリモコンで開いたから。」と言って照れ隠しに少年の前で鍵をゆらゆら揺らした。
そして今降りたばかりのスポーツカーに向かって、やらなきゃいいのに自分のリモコンを押した。
向こうの方で黒いセダンのライトが点滅した。
おじさんは少年の肩を叩いて「ごめん、ごめん。」と謝った。
それから見渡して、自分の黒い高級車に向かって歩いていった。
普通は運転席に座った時点で気がつくだろうに。

少年は笑いが止まらなかった。
一部始終を見ていた私たちと目を合わせ3人でケタケタ笑った。
そして、チャイルドシートに座った坊ちゃんまでも訳が分からず笑い出した。
笑い声って伝染する。
これからしばらくは黒い車を見たら運転手を確認してしまいそう。

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by bon-amulet | 2010-09-19 20:56 | お話
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